自動車ナンバープレート

しばらく前にインダストリアルデザイナー協会の会員の方からこんな呼びかけがありました。

国土交通省が自動車のナンバープレートを横長に変更するらしい。しかし案の定ご多分に漏れず「デザインされていない」。グラフィックデザイン協会や日本デザイン振興会、その他のデザイン団体がタッグを組んで、きちんとデザインを促さなければ今後数十年自動車の進化に逆らって お猿のカゴにつけるようなプレート(これは私の勝手な意見)になってしまい取り返しがつかない。当インダストリアルデザイナー協会にはカーデザイナーの会員が大勢いるし国土交通省に提案すべきだ・・・・と。

いつになく会員から大きな反響がありました。
私もすぐにメールを出しました。
ここで国土交通省の提案している新しいナンバープレートを掲載できないのが残念だ(無断転載禁止になっています)。

ナンバー5
スイス・チューリッヒにて


いつも思うのは、
日本のデザイナーは優秀で決して世界に遅れを取らないのになぜ陳腐なものが氾濫するか。
お台場に自由の女神が立ち、
「レインボーブリッジ」なんて陳腐な名称がつき、
美しい町並みに汚い倉庫が建ち・・・。
様々なことを決定付けるトップがもっとデザインの力を勉強して欲しいとつくづく感じる。

ナンバー2
ドイツ・ミュンヘンにて
ナンバー3
ナンバー7
スイス・チューリッヒにて トヨタ車タクシー 色合いがいい

意見書としてデザイン団体から以下のものが国土交通省に提出された。

ナンバーープレートのあり方に関する懇談会中間とりまとめに対する意見提出

1.
私達は、国民の立場から考え今日の社会的要請に鑑み、登録自動車ナンバープレートの将来に向けたあり方を検討されていることに大いに賛同いたします
国土交通省が、本件に対して意欲的な検討を始められたことに対し、日本のデザイン界を代表して支持を表明いたします。

2.
今後、国民及び産業界の幅広いコンセンサスを得て、ナンバープレートの具体的な基準作成を行うに当たり、以下の点に充分留意して進められることを推奨いたします。
ナンバープレート改定検討の重要なポイントは5つあると考えます。

1)車両情報管理の観点から、様々な本来的機能及び情報表示の重み付けを考慮したわかりやすい構成の実現。

2)緊急性の観点から、誰にでも瞬時に識別できるような視認性、記憶性の実現。

3)車両製造上の観点から、車体設計や開発及び製造管理の問題解決。

4)国際性の観点から、日本を代表するサイン(表示)としての、高い品格の実現。

5)国民要請の観点から、地域性や任意性のニーズの反映と統一感の両立。

今後、国民及び産業界に対して新たなイメージを提示し、より多くの合意を得る必要があります。
そのためには、上記の諸条件を踏まえ、ナンバープレートが持つ本質的な問題から捉え直し、これら相反する要素を統合し、バランスを保ちながら高い次元で解決を図る必要があります。
そこで、交通工学、機械工学、人間工学、心理学等の視点を踏まえ、それらを統合するデザイン専門家の参画が急務であると考えます。

3.
私達は、ヴィジュアル・コミュニケーション(視覚情報伝達)のデザイン、サイン(表示・標識)のデザイン、工業製品のデザインなどを担っている公的なデザイナーの職能団体とデザイン振興機関、及びこれに賛同する団体であり、本件に関して多くの知見の提供と関係者との連携を図り総力をあげて助言や支援を行う用意があります。
次なる、基準策定の段階においては、是非とも私どもの関与に関し、ご高配頂くようお願い申し上げます。

4.
現段階で、支持を表明しているのは以下5つの公的機関です。
・公益財団法人日本デザイン振興会
・公益社団法人日本サインデザイン協会
・社団法人 日本インダストリアルデザイナー協会
・社団法人 日本グラフィックデザイナー協会
・社団法人 国土政策研究会


結果として十分討議を重ねていくということになったようです。
今回も国がナンバープレートなるものに、「デザインが関与する発想」がまったくなかったようで、「ナンバーを印紙や証紙としか考えていなかった」ようです。
ビジュアルの重要性をもっと認識して欲しいものです。

皆様ご苦労様でした。